筆者はかなり前から、アルファロメオは必ずスポーツカーを復活させると、このブログにも書いてきた通り、それが現実のものとなった。ライブストリーミングが始まってから、SNSやインターネット上では、爆発的な賛否両論の嵐となった。筆者は現在の売れ行き不振のアルファロメオを見ると、気の毒に思えてきていたのは事実だ。特に日本ではアルファロメオの信奉者が多ので、その誰もがスポーツカーの復活を望んでいるのだろうと察していた。それ故に、新しい33ストラダーレの登場は、手放しで喜んだのである。しかしながら、筆者マセラティスタでありランチスタでもある。アルフィスタではないのだ。筆者から見た新型33ストラダーレについて、これまでの雑感として少し思うところを書いてみた。(傍観者的な立場ですが)
今、新型33ストラダーレについて判っているのは、下記のような項目だ。
生産台数;たった33台しか製造されないこと。
販売数;その33台は既に完売していること。
仕様;33台は全てオーダーメイドなので、同じものは一つも無い。
価格;価格は100万ユーロから200万ユーロ(約1億6千〜3億円)とかなり幅がある。
パワートレイン;エンジンとBEVがあり、エンジンはアルファロメオV6で、マセラティ製ではない、BEVの場合は3モーターの750PS発生する電動パワーとなる。
製造工場;スーパーレッジェーラなので、カロツェッリアトゥーリングが担当。たった33台なので製造ラインは必要無いので、モデナの Ciro menotti工場では作らない。
販売時期;デリバリーの開始は2024年12月17日に最初の顧客に納車する予定。
ざっと大雑把だがこんな具合だ。その中で筆者が考察したのことを整理するとこんな具合だ。
ミッドシップ、V6エンジンかBEV、カーボンファイバーのモノコックシャーシ。このプロジェクトにどれだけアルファロメオのDNAがあるのか?これならマセラティMC20となんら変わりはない。それはそれで異論はないが、それで本当に良いのか?と思うのである。そして、その価格はMC20より何倍もするプライスタグが提示されている。超限定生産と不釣り合いなコストを考えれば、おそらく先代の33ストラダーレの方がずっとロマンティックだっただろうと思うのは筆者だけなのか?アルファロメオのハートは本当にそこにあるのだろうか?
60年代の33ストラダーレの復活というテーマとしては、とても理解しやすいのだが、そもそも先代の33ストラダーレは18台しか作られてない。コンセプト的にTipo33というコンペティションマシンを公道での再現を目指したプロジェクトであったのに対し、新型33ストラダーレはどちらかというと、ただのブランディングに近いように思える。あえて言えば8Cコンペティツィオーネの二番煎じの感は否めない。
確かにスタイリングは彫刻的な究極の美しさが描写されているボディだと思う。しかしながら先代にあったラップラウンドしたフロントウィンドウは弱められ、若干重さを感じるのだ。リアライト周りはザガートデザインの匂いも感じられる。はたしてこのボディスタイルで、最高速333Km/hと空力性能cx0.375を本当に達成できるのか。。
このとんでもない価格で、アルファロメオは何を証明したいのだろうか?
もはや、フェラーリ、ランボルギーニを通り越してハイパーカーのパガーニ、ブガッティ、ケーニグセグなどに近づき、投機目的でありその対価として支払うのは排他性(他を圧倒するモデル)だけだと考え、将来のオークション相場を盛り上げるただの面白ネタとして終わるのか?
いやアルファロメオはおそらく新型33ストラダーレがイメージリーダーカーとして、主力車であるジュリア、ステルヴィオ、トナーレの販売数の増加を牽引してくれることを期待しているはずである。
F1に復活した時もそのはずだったと思うが。。。
新型33ストラダーレの登場がスポーツカー市場に一石を投じたのは間違はいなく、異論はない。しかしながらどこか一抹の引っ掛かりがあるのは筆者の拘りかもしれない。。。その結論はアルファロメオの今後の歴史においてどの様な評価が下されるかだと思う。