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マセラティ:誕生から60年を迎えたクアトロポルテ

マセラティ・クアトロポルテは1963年にデビュウして、今年60年を迎えた。現在、モデナのマセラティ本社ショールームでは、歴代のクアトロポルテが展示されている。展示会は、さまざまなテーマのセクションに分かれており、クアトロポルテの時代を経た旅を辿ることができる。

クアトロポルテは6世代にわたり、イタリアのプレステージセダンの代表であり続け、その中でも最も記憶に残るクアトロポルテのセレクションが展示されている。 1960 年代に誕生した初代から、最新のクアトロポルテ・ゼダや故セルジオ・マルキオンネ氏が使用したクアトロポルテなどのユニークな車両を間近でみることができる。11月17日まで開催されているので、クアトロポルテのファンには必見の展示会だ。隣接している工場で行われるファクトリーツァーでもマセラティオーナー、観光客、ジャーナリストなどを対象に、イタリアブランドの最も象徴的な車の歴史を発見または再現するための工場のガイド付きツアーを提供しているという。

1963年のトリノモーターショーで発表されたクアトロポルテは、常にその時代のパッシオーネのマセラティスタに愛用され続けてきた。最も洗練されたドライバー、中東のセレブレティな王族、世界的な名だたる著名人やアクター、企業経営者にも。映画の世界の有名人から賞賛され、トライデントのセダンは忘れられない映画に登場するほどだ。イタリアでは大統領や首相の公用車しても活躍したのだ。ラグジュアリーとハイパフォーマンスを融合させたイタリアのフラッグシップモデルは、60年の歴史の中でマセラティが、同じ同郷のフェラーリとは、道を違え辿ってきた軌跡がクアトロポルテのヒストリーなのだ。

デビューは1963年10月30日にトリノショーで、デビュー以来、初代クアトロポルテは高い評価を得、後世のプレステージセダンのカテゴリーに多大な影響を与えてきた。デザインと性能の卓越性の追求に取り組み、エンジンはレーシングフィールドから由来されたV型 8気筒エンジンを搭載して、最高速度は230km/hを出した。総生産台数は75、000台を記録している。インテリアの洗練さを損なうことなく、ダイナミックでありながらエレガントなデザインが好評を博した。この初代クアトロポルテは日本にも僅かであるが現存している。筆者も1度だけ助手席に乗せていただいたが、セダンとは思えないV8エンジンによる怒涛の加速に驚いたものだ。

2代目クアトロポルテは、シトロエン傘下の時に13台だけ作られたプロトタイプのモデルで、シトロエンのテクノロジーが注入されたクアトロポルテであった。1974年のトリノショーで公開されたが、その後、シトロエンが撤退したために、生産型クアトロポルテは実現しなかった。

結局9年間のブランクがあったが、1979年にデビューした3代目は、日本国内でも相当数が輸入されているので筆者もクアトロポルテⅢは何台も見ている。イタルデザインによるシャープなスタイリングはセダンでありながら、スーパーカー然としたフォルムは今見ても新鮮だ。モデナのテノール歌手である故ルチアーノ・パヴァロッティやロックシンガーのヴァスコ・ロッシも一時愛用していたのだ

次に登場した4代目は、フィアット傘下となり品質も向上している。日本にも今だに熱狂的な4代目の信奉者が多い、それはマルチェロ・ガンディーニによる奇抜なリアホイールアーチ、未来的なリアスタイルと、それ相反するウッドを多用したエレガントで豪華でかつ古典的なインテリアによる内と外の絶妙なバランスが、このクルマに独特の雰囲気を醸し出しているのである。

次は5代目だ。現行モデルの1つ前のモデルなので、今でも日本でもたくさん走っている。この5代目にとって敢えて筆者から言えば、フェラーリ製のV型 8気筒自然吸気エンジによるエンジン音とエクゾーストノートにより聞こえてくる美声に尽きると思う。街中で姿は見かけなくてもエンジン音が聞こえてくれば、5代目クアトロポルテだと筆者は直ぐに判るのだ。そして5代目は、後期型のトルコンオートマ仕様に乗っては行けないと思う。この5代目はV 8エンジンを駆り立てるには、デュオセレクトによるメリハリのあるシフトチェンジによって、タコメーターを思いっきり引っ張ることが、この5代目の性能を思う存分に発揮できる冥利に尽きるのだ。普通の人がマセラティをイメージする時に、このクアトロポルテⅤの美声が、今のマセラティを作り上げたのだ。

現行モデルの6代目クアトロポルテは、デビュウして今年で丁度10年目だ。しかしながら、その1年後にクアトロポルテより少し全長の短いセダンをマセラティは出してきた。名前はギブリ。後出しの4ドアセダンのギブリは、結局クアトロポルテより売れてしまった。そういう意味であまり陽の目を見なかった感が現行クアトロポルテにはあるのだ。筆者も現行クアトロポルテには短期間でだが、ロングドライブをしたことがある。かなりの大型のサルーンなので、流石に狭い道には気を使ったが、高速では無敵のクルージング走行に酔いしれた。ロングホィールベースのお陰で乗り心地は走行していても、応接ソファーに座っているようなものであった。エンジンはフェラーリが作ったV6ツインターボエンジンは、先代のV8自然吸気エンジンと殆ど引けを取らない加速感を味わえた。インテリアの質感はライバルのドイツ車上級セダンと遜色はなかった。

そして、来年には7代目クアトロポルテのデビューが予定されている。100%の完全なBEVとなる模様だが、詳細はまだ公開されていない。プラットフォームはステランティスグループのSTLA Largeを利用する。 サイズは現行ギブリと現行クアトロポルテの間をとったサイズになるという。ギブリの名前は消滅してクアトロポルテに統一されるのだ。(しかしギブリの名前は2ドアとして復活を期待しましょう)新型クアトロポルテの登場を、満を持して待つことにしよう。
ここにクアトロポルテのヒストリーのPVがあるので、ご覧ください。

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