チェファルを訪ねた次の日は逆方向の西へ向かった、目的地はエリチェだ。
車を西方へ走らす、エリチェ方面とは景観が少し違い、断崖絶壁は比較的少なく、なだらかな丘陵地帯が続く、しかしトスカーナのようかというとそうでもない。トスカーナは緑や比較的高い樹木が多いが、シチリアの西方の丘陵地隊は、オリーブと葡萄畑、そして岩が続く。高速道路も広く走りやすい、パレルモの狭い道と混雑した街中からは解放されるので、スピードもかなり出てしまうのだ。見通しの良い高速道路は遠くまで見渡せ、道が左に右にカーブもどこまでも続く。
車でエリチェの城塞に行くには見上げるほどの断崖の頂上を道路が山沿いにまるで「日光いろは坂」のような九十九折の急道を登っていく。車窓からは段々と見渡しが広がってくるので、かなりの高いところまで登ってきたことがわかる。地中海が見渡せる絶景は言葉に現せないほど美しい。
古い城壁に囲まれた中世の街だ。街には観光客のお店を並んだ通りを外れれば人は殆どいない静寂に包まれた一帯はまるで中世にタイムスリップしたようだ。街の城塞の見晴し台からは、見渡す限りの地中海とシチリアの海岸線が見事な景観を作っている。