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ランチア・アウレリアB24 vs アルファロメオ・ジュリエッタ 60年代オープンスポーツの両雄

60年代のイタリア映画はモノクロが多かったが、スポーツカーが輝いていた。

先日、亡くなったクラウディア・カルディナーレはとても可愛かった。今回は彼女に因んで、その頃の映画に登場した2台のスポーツカーにスポットを当て、映画と車が織りなす魅力を掘り下げる。もう一人登場するイタリア女優はステファニア・サンドレッリ。

イタリア映画とクラシックカーの黄金時代
クラウディア × ランチア B24 コンヴァーチブル vs ステファニア × ジュリエッタ スパイダー

1960年代初頭、イタリアは経済も文化も躍動していた時代。
映画界では名優・名女優が活躍し、街中にはアルファロメオやランチアといった美しい車たちが走り抜けていた時代であったのだ。

映画と登場車両

項目クラウディア・カルディナーレステファニア・サンドレッリ
映画『La ragazza con la valigia(鞄を持った女)』『La Bella di Lodi(ローディの美女)』
公開年1961年1963年
車種Lancia Aurelia B24 ConvertibileAlfa Romeo Giulietta Spider
テーマ愛と野心、階級差青春と自由、恋愛模様

クラウディア・カルディナーレのプロフィール

ステファニア・サンドレッリのプロフィール

クラウディアとランチア・B24 スパイダー

クラウディアが劇中で乗るのは、ランチア・アウレリア B24 コンヴァーチブル(la prima serie era Spider)
流麗なピニンファリーナデザイン、V6エンジン、贅沢な作り込みは、当時の上流階級の象徴でした。印象的なシーンは、クラウディアが田舎道で車を停め、我慢できずに用を足す為、草むらに駆け込む場面。高級車での優雅な旅と、素朴で人間味あふれる行動の対比が、映画に独特のリアリズムを与えている。

ステファニアとジュリエッタ・スパイダー

『La Bella di Lodi』では、ステファニアが白いアルファロメオ・ジュリエッタ スパイダーを実際に運転。オープントップで走り抜けるその姿は、高度経済成長期のイタリアで芽生えつつあった「自由」や「女性の自立」を象徴している。ジュリエッタは当時の中産階級にも手が届くスポーツカーであり、
クラウディアが乗ったB24スパイダーと比べると、より現実的で“市民の夢”を体現した車といえる。因みにこの映画には他に2台のオープンカーも登場している。アルファロメオ2600スパイダーとマセラティ3500GTスパイダーだ。

両車のスペック比較

車種生産年エンジン最高出力最高速度当時価格(目安)
Lancia Aurelia B24 Convertibile1956-19582.5L V6(2451cc)約118ps約180km/h約2,400,000リラ
Alfa Romeo Giulietta Spider1955-19621.3L 直4約80ps約155km/h約1,500,000リラ

B24はラグジュアリーな上流階級向けモデル、ジュリエッタは中流層が憧れを持って手に入れる現実的なスポーツカーというポジションなのだ

1960年代初頭イタリア映画の傾向

当時のイタリア映画は、ほとんどが白黒作品。カラーフィルムは既に存在していたが、制作費や技術的ハードルが高く、特にドラマや日常を描く映画では白黒撮影が主流であった。

特徴的なポイント

白黒映画は、モノクロならではの光と影のコントラストが映像美を生み、車のシルエットやクロームパーツをより美しく際立たせる効果もあった。

2台の車と2人の女優が象徴する世界

この対比は、映画が単なる娯楽にとどまらず、当時の社会背景や価値観の変化を映し出していたことを教えてくれるのだ。


まとめ

2人の女優と2台の車、そして2本の映画は、1960年代初頭のイタリアという国が持っていた夢と現実を象徴する存在である。

白黒映画という制約の中で、監督や撮影監督は車をドラマティックに映し出し、観客に強い印象を与え、映画と車を対比させることで、当時のイタリア文化がより鮮明に浮かび上ってくる。クラシックカーを愛する方も、映画ファンも、ぜひ2本の映画を見比べながら、この時代の“美しい交差点”を体感してみてください。

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