2025年11月、マセラティはコンパクトSUV Grecale(グレカーレ) に、新たな限定シリーズ 「Lumina Blu(ルミナ・ブル)」 を追加した。
“una nuova serie speciale, dedicata a chi cerca performance e raffinatezza.”
(性能と洗練を求めるファンのための特別シリーズ)
1. 名称「Lumina Blu」に込められた意味
名前の由来はイタリア語で
Lumina(光)+ Blu(青)。
しかし、このモデルの真価はもう少し詩的だ。
マセラティは公式に“Night Interaction Blu(ナイト・インタラクション・ブルー)”と呼ぶ特別塗装を採用している。
✔ 夜のモデナの空気
✔ ランパンテ(街灯)に映える金属光
✔ グランデ広場に落ちる淡い青の陰影
こうした“イタリアの夜”を思わせる独特の青で、
単なるメタリックブルーとは明確に違う色相を持つ。
イタリア・モデナの空気感まで含めてパッケージ化した、
いわば 「都市のブルー」 だ。
2. エクステリア —「青×黄」というマセラティ伝統の意匠
Grecale Lumina Blu の外観でまず目を引くのは、
■ Night Interaction Blu(限定ブルー)
■ 21インチ専用ホイール
■ イエローアクセントのブレーキキャリパー
■ トライデント(Maseratiロゴ)もイエロー仕様
である。
マセラティが青と黄を組み合わせるのは歴史的に意味がある。
実は、これはマセラティ創業の街“モデナ市のコーポレートカラー”。
つまり、
青 × 黄 = Modena(マセラティの原点)
という、極めて象徴的な色の組み合わせなのだ。
Grecale Lumina Blu は、
単なる限定色ではなく “走るモデナの記章” といえる。
3. パワートレイン — 日常域に余裕を持たせた軽快さ
公式発表では、Grecale Lumina Blu のベースは以下の通り。
- 2.0L 4気筒ターボ
- 48Vマイルドハイブリッドシステム
- 8速AT(ZF製)
- 4輪駆動(AWD)
これらは標準グレード(GT/Modena系)に準ずるセットアップだが、
限定シリーズは“装備と質感強化”に焦点が置かれ、
走行フィールは 「軽快で、静かで、上質」 の三拍子を狙う。
Grecale の本質は「日常速度域のしなやかさ」にあり、
Lumina Blu はそのキャラクターを “都会の夜に似合う仕様” としてまとめている。
4. 限定装備 — イタリア工房の仕事が光る内装
外装の青と黄の対比に合わせて、
インテリアも質感を中心にリファインされている(※地域仕様により差異あり)。
- 特別刺繍
- 専用ステッチ
- アルカンターラの採用比率増
- ダークトリムで「夜」のニュアンスを演出
モデナ製造ラインに隣接する Fuoriserie(フオーリセリエ)工房 のデザイン言語を踏襲しており、
“都市を走るラグジュアリーSUV” の方向性がいよいよ明確になった印象だ。
5. なぜ今、「Lumina Blu」なのか?
—— モデナ回帰の象徴として読む
今回のシリーズ発表は、
GranTurismo/GranCabrio のモデナ回帰(Meccanica Lirica)直後に行われている。
これを踏まえると、
「マセラティの未来はモデナにある」
というブランドメッセージを
Grecale の限定仕様として体現したものと読める。
モデナ=青と黄。
Lumina Blu=青の夜明け。
ブランドアイデンティティを
もっとも販売台数の多い SUV で示した点は非常に大きい
**6. エンスージアストの視点:
Lumina Blu は“マセラティの現在地”を映すモデルである**
Grecale は従来、「実用 × スポーツ × 上質」の三角形にうまく収まるモデルだった。
しかし、Lumina Blu で明確に見えるのは、
✔ マセラティの“都市性”の強調
✔ モデナの色をまとったアイデンティティ再構築
✔ カスタム(Fuoriserie)指向の強化
✔ 大量生産から“適量生産”へのシフト
つまり、
マセラティがどこへ向かうのかを示す指標 が Lumina Blu に凝縮されている。
**まとめ:
Grecale Lumina Blu は「静かな革命」だ**
派手ではない。
しかしこの限定シリーズは、
マセラティの哲学が “量から質へ” と静かに動いていることを示す象徴的モデルである。
- モデナの色
- 夜のニュアンス
- 手仕事の香り
- そして適量生産の思想
Lumina Blu は マセラティの未来へのスケッチ として語り継がれるモデルとなるだろう。

