1. イタリア本国発:500ハイブリッド、ミラフィオーリのラインに復活
イタリア主要紙 Corriere della Sera は、ミラフィオーリ工場での500ハイブリッド生産開始を次のように伝えている。
「Fiat はミラフィオーリで500 Hybrid の生産を開始した。初年度は5,000台超、将来的には年間10万台規模に拡大する計画である。」
― Corriere / Trasporti
また Stellantis 公式も “復活の意義” に強く触れており、
「500 Hybrid の生産再開は、ミラフィオーリをイタリア都市モビリティの中心へ戻す第一歩である。」
と明言している。
✔ 初期生産目標:年末までに 5,000台
✔ 中期計画:年間 100,000台 規模に拡大
✔ 生産モデル:ハッチバック/3+1/カブリオ の 3仕様
ここに、EVの販売失速に対し「現実的な電動化」を再構築する FIAT の戦略が読み取れる。
2. ミラフィオーリ工場とは──フィアットの“魂の工場”
ミラフィオーリは 1939年開設。
Fiat グループの中核として、
500/Panda/Tipo/Bravo など、イタリアを代表する大衆車を生み出してきた。
しかし近年、
- 500e(EV)の販売失速
- Stellantis の再編
- ライン停止、短期休業、労働時間調整
など厳しい状況が続いていた。
そのミラフィオーリが、500ハイブリッドで再び動き出した。
これは イタリア国内の自動車製造基盤が再起動した瞬間 と言える。
3. 電動化の“現実解”:ハイブリッド回帰の理由
なぜ FIAT は EV(500e)ではなく、ハイブリッドの500を復活させたのか?
理由は明確である。
✔ ① ヨーロッパでEV需要が急激に失速
- 消費者側「充電インフラが追いつかない」
- 新車価格の高騰
- 冬季の航続距離問題
こうした要因から、EV販売が大きく減速。
✔ ② フィアット 500 の強みは「都市型小型車」
→ EV では価格が上がりすぎた
→ ハイブリッドは現実的価格で “普及” 可能
✔ ③ イタリア国内生産の維持
電動専用の Mirafiori ラインを“使い続ける”ためにも、
500 Hybrid の投入は最適解だった。
4. マセラティ視点での「ミラフィオーリ再稼働」の重要性
✔ ① Stellantis イタリア工場の「稼働回復」はサプライチェーンを救う
ミラフィオーリ工場の労働者は、今だにトランデントのユニフォームを着ている。
ミラフィオーリの稼働再開は、イタリア部品サプライヤーの生産ラインを再び動かす。ご覧のミラフィオーリ工場の
これは
- モデナ(マセラティ)
- アレーゼ(アルファロメオ)
- ポミリアーノ(フィアット/アルファ)
など他ブランドにも直接影響する。
✔ ② 500 Hybrid の成功 = Stellantis イタリアの安定
Stellantis が安定すれば、
マセラティのような少量生産メーカーへの投資継続が可能になる。
✔ ③ “イタリアでつくる” という価値の再確認
マセラティのモデナ回帰と、
FIAT のミラフィオーリ稼働は、
共に 「イタリア製造の価値」を再提示する流れ の一環。
これは
高級車(マセラティ)と大衆車(500)が手を取り合ってブランド国家価値を上げる
という構図でもある。
5. まとめ —— 500ハイブリッドは“イタリア自動車産業の灯り”
今回の 500 Hybrid ミラフィオーリ生産開始は、
- イタリア国内生産の再起動
- EV不況の中での現実的戦略
- マセラティ含むイタリア車ブランド全体の安定基盤
を象徴している。
「イタリア車の未来は、ここからまた始まる」
そう言っても過言ではないニュースである。

