2025年6月10日に、北イタリア・ヴェネト州に位置する古都**パドヴァ(Padova)**を訪れる。



最初に行ったのはパドヴァ植物園(Orto Botanico di Padova)。ここは1545年に創設された、世界最古の大学植物園としてユネスコの世界遺産にも登録されている。
📌 基本情報
- 🗓 設立:1545年(パドヴァ大学の研究施設として開園)
- 🕰 営業時間:季節によって異なるが、通常は午前9時頃から日没まで
- 🎫 入場料:€10程度(割引あり)
- 🌐 公式サイト:https://www.ortobotanicopd.it



🏛️ 歴史と学びの空間
入り口をくぐると広がるのは、16世紀当時の「円形の構造」を保った中庭。幾何学的に区画された花壇には、薬用植物を中心に、多種多様な植物が植えられているのだ。パドヴァ大学が「植物の効能」を研究するために作ったこの場所では、今も教育・研究の拠点として活用されている。



🌱 ハイライト
- 歴史的植物(Plantae antiquae)
数百年前に植えられ、今も生きているヤシの木など、歴史を生き抜いた植物たちと対面。 - 温室エリア(Giardino della Biodiversità)
近代的なガラスの温室には、世界中の気候帯に対応した環境が再現され、熱帯植物や砂漠のサボテンなどを間近で観察できる。 - 水辺エリアと薬草園
池には水生植物が咲き、散歩道にはリラックスできるベンチも。心と体がほぐれる癒やしの空間となっている。



パドヴァ植物園は、芸術や建築とはまた違った角度からこの街の知性と文化に触れられる場所。
「自然と人間のつながり」を500年近くにわたって見守ってきた生きた博物館であり、旅の疲れを優しく癒してくれるオアシスでもあります。美術と自然が融合するパドヴァ――この街の深さを知るには、植物園も欠かせない訪問先である。
さて本来の目的は、**2021年にユネスコ世界遺産に登録された「パドヴァの14世紀フレスコ画群」の見学。かの有名な画家ジョット(Giotto di Bondone)**による宗教画の傑作を、この目で見るためだ。
🎨 スクロヴェーニ礼拝堂(Cappella degli Scrovegni)
パドヴァを代表する芸術の宝庫スクロヴェーニ礼拝堂。ジョットによって1303~1305年に描かれたフレスコ画は、イタリア美術の歴史を変えたとも言われている。入場は完全予約制で、筆者も少人数のグループに分かれて、時間制限の中で鑑賞をした。薄暗い礼拝堂に一歩足を踏み入れると、壁一面に広がる青の空間が広がり、息を呑むほどの美しさに包まれる。
🔹 見どころ:
- 「最後の審判」
- 「キリストの生涯」
- 「マリアの物語」
どの場面も感情豊かで、13世紀にはまだ珍しかった人物の表情描写が見事。まるで時が止まったような感覚に陥るのだ。



