ローマに集いし「動く芸術」:アナンタラ・コンコルソ・ローマ 2026 フォトアーカイブ

前回のレポートに続き、会場で一際強いオーラを放っていた個体たちをご紹介します。これらは単なる「古い車」ではなく、当時のエンジニアやカロッツェリアの情熱が結晶化した、まさに文化遺産です。

1. ビッザリーニ 5300 GT & ランボルギーニ・ミウラ

手前のビッザリーニ 5300 GTの、地を這うような低さと凄まじいワイド感。ジオット・ビッザリーニの執念が形になったこの「猛獣」は、現代のスーパーカーさえも霞ませるほどの殺気を放っています。その後ろに控えるオレンジのミウラとの並びは、1960年代イタリアが生んだ最高傑作の競演と言えるでしょう。

2. ブガッティ EB110 GT

1990年代、イタリアのカンポガリアーノで奇跡のように復活したブガッティ。このシルバーのEB110 GTは、クワッドターボと4WDを組み合わせた当時のハイテクの結晶です。マルチェロ・ガンディーニの手による、時代を先取りしすぎた直線的な造形が、ローマの古典的な風景の中でかえって新鮮に響きます。

3. チシタリア 202 SC カブリオレ(ヴィニャーレ)

淡いグリーンのボディカラーが、ボルゲーゼ公園の木漏れ日に見事に溶け込んでいます。チシタリア 202は「走る彫刻」としてMoMAに展示されたことで有名ですが、このヴィニャーレ製のカブリオレはさらに希少。戦後の復興期、これほどまでに優雅なラインをイタリア人が描き出したという事実に、改めて畏敬の念を抱かずにはいられません。

4. フェラーリ 500 TRC スカリエッティ(#235 & #96)

1950年代のスポーツカーレースを席巻した「テスタロッサ」の直系、500 TRC。ブルー(#235)とレッド(#96)の2台が並ぶ姿は圧巻です。4気筒エンジンを積んだ軽量なこのマシンたちは、まさに戦うために生まれたサラブレッド。その曲線美は、速さこそが美しさを生むことを証明しています。

5. フェラーリ 250 GT ベルリネッタ “Inter” ピニンファリーナ(#158)

1949年製、フェラーリの初期を象徴する250 GT インター。トリコロールのストライプと「ツール・ド・フランス」のゼッケンが、この個体が歩んできた輝かしい歴史を物語っています。ピニンファリーナによる端正なクーペボディは、後のすべてのGTカーの原点と言えるでしょう。

6. フェラーリ・テスタロッサ・スパイダー(ジャンニ・アニエッリ・モデル)

そして、今回最も「特別」だった一台が、このシルバーのテスタロッサ・スパイダーです。かつてのフィアット会長、ジャンニ・アニエッリ(通称アッボカート)のために、フェラーリが唯一公式に製作した「本物の」スパイダー。ボディ下部のブルーのラインは、彼のこだわり。ローマの地にこれほどふさわしい「王者の車」はありません。

7. フェラーリ 375 MM クーペ・スペチアーレ Ghia

かつてロベルト・ロッセリーニがイングリッド・バーグマンに贈った車と同じ流れを汲む、伝説の375 MM Ghia。カロッツェリア・ギアによるこの一際エレガントなオレンジのボディは、1950年代の贅を尽くしたカスタマー・スペシャルの頂点。その圧倒的なサイズ感と存在感は、会場でも別格でした。

8. ランボルギーニ・カウンタック 25th アニバーサリー & 512 BB

スーパーカーブームの記憶を呼び覚ます、ブラックのカウンタック 25thアニバーサリー。そしてその後ろに控えるシルバーの512 BB。オラチオ・パガーニがリデザインに関わった最終型カウンタックの迫力と、12気筒を縦に積むベルリネッタ・ボクサーの気品ある並びは、1970-80年代へのノスタルジーを誘います。

9. フェラーリ 275 GTB/4 & 250 GT SWB

1960年代のフェラーリ黄金期を象徴する2台。深いワインレッドの275 GTB/4は、4カムV12が奏でる咆哮を想像させます。そして隣に並ぶのは、永遠の傑作250 GT SWB(パッソ・コルト)。走るために生まれたこのショートホイールベースの美しさは、フェラーリの歴史における一つの到達点と言えるでしょう。

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