マセラティ:マセラティ工場の従業員にセルビアに行ってパンダを作ってください

遂にマセラティ工場の従業員にセルビア工場に行って,パンダの生産を手伝ってくれという出向案が提示された。

マセラティのモデナの従業員にとって状況はますます厳しくなっているようだ。工場の稼働能力が大幅に低下していることから、ステランティスは、労働時間が短縮された従業員に対し、一時的にセルビアのクラグイェヴァツにある工場で働くという解決策を提案した。労働組合と労働者の陣営を揺るがし大きな衝撃を受けた。この提案に対し労働組合は勿論大反対だ。モデナのチーロメノッティ工場はMC20の生産を今年になって1台もしていない状態が続いている。理由は簡単だ。昨年の年間生産台数はたったの220台と激減しているからだ。

 昨年10月に筆者はモデナのチーロメノッティ工場にファクトリーツアーとして,訪れているがこの時点でさえMC20の生産はフル稼働していなかった。例のMC20 GT2ストラダーレが数台ラインに並んでいて点検作業をしている様子は垣間見れた。過去に何度もファクトリーツアーを観ているが,普通は何台ものマセラティが従業員による手作業によって,ラインに流れていたのだ。それが昨年の10月は活気がなかったのである。それほどまでにMC20は生産調整をする程,売れ行きは落ちたことになる。
その煽りが,従業員のレイオフ(1時解雇)に加え,セルビアへの出向提案なのだ。当然,労組は反対するのは当たり前。6ヶ月の出向期間とはいえ家族がいる人にとっては大問題である。強制ではないとはいえ,「この提案は本当の茶番だ」とモデナの労働組合の秘書、ステファニア・フェラーリ氏は言う。氏曰く、これはイタリアの卓越性を代表するブランドであるマセラティにとって実行可能な解決策ではない。 「労働者は不安定な状況にあり、今やそれが彼らの問題の解決策であるかのように、セルビアに行って働くよう提案されている。これは彼らの尊厳に対する侮辱だ」と付け加え、生き残るために故郷から遠く離れた場所での申し出を受け入れざるを得ない従業員に対するこの「人質」行為を非難した。

MC20 フォルゴーレがモデナで生産されていないという決定がなされ、従業員の不満をさらに募らせている。工場の近い将来が不確実であるだけでなく、従業員も難しい選択に直面している。直近の数か月間短時間労働をしてきた人々は、現在、セルビアに移住するという選択肢に直面している。しかし、その代償は?セルビア迄の往復交通費は補助はあるようだが,賃金や住宅条件は依然として不明確であり、一時的な移転が社会に及ぼす影響について懸念する人も多い。モデナの労働組合は、従業員に対するこの「屈辱的な扱い」を非難している。ステファニア・フェラーリ氏は更に加えてこう述べている。こうした申し出はすでに困難な状況にさらに不公平さを加えるだけだという。また,労働組合はセルビアにおけるこの就労オプションに関する議論に参加できなかったことを残念に思っており、これは労働者代表とのコミュニケーション不足を示している。
ますます混迷を極めるモデナのマセラティだが,兎にも角にも早期に新型クアトロポルテとレヴァンテがデビュウすることが,一番の解決策であると考える。

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