Concorso d’Eleganza Villa d’Este 2025に珠玉の名車の数々(2)

今回のコンコルソ・ヴィッラデステにはマセラティMC12 Corsa 2007 がエントリーしている。

年式:2007年

  • エンジン:V型12気筒 5999cc
  • ボディタイプ:クーペ(Maserati製)
  • 出展者:Henricus van den Anker(オランダ)
  • 出展クラス:Class F – The Need for Speed: Supercar Stars of the New Millennium

■ 究極のマセラティ、トラック専用モデル

Maserati MC12 Corsaは、2004年に登場したMaserati MC12のサーキット専用バージョンとして2006年〜2007年にわずか13台のみが製造された、非常にレアなモデル。このCorsaは、FIA GT選手権で圧倒的な戦績を誇ったレーシングカー「MC12 GT1」をベースに開発され、**フェラーリ・エンツォと同系統の6.0リッターV12エンジン(約755馬力)**を搭載しながらも、公道走行はできず、専用トラックイベントでの使用を前提にした“ピュア・トラックウェポン”である。

■ スペックと特徴

  • 最高出力:約755 hp(GT1レース仕様に近い)
  • 変速機:6速セミオートマチック(パドルシフト)
  • 車重:およそ1,150 kg(カーボンモノコック採用)
  • 最高速度:326 km/h 以上
  • 0-100km/h 加速:2.9秒前後(非公式)

MC12 Corsaは、エアロダイナミクスの最適化により、非常に高いダウンフォースを発生させるデザインとなっており、その姿はまさにレーシングカーそのもの。リアウィングや大型ディフューザー、冷却用エアインテークなど、すべてが実用本位に設計されている。

Lamborghini Miura SV – 1972

  • モデル名:Lamborghini Miura SV
  • 製造年:1972年
  • エンジン:V型12気筒 3,929cc(記載は“Inline 12”となっていますが、正しくは“V12”)
  • ボディ:クーペ(カロッツェリア・ベルトーネ製)
  • 出展者:Stephane Ratel(イタリア)
  • クラス:Class C – V12-powered design icons of the 1960s and 1970s

ランボルギーニ・ミウラは、1966年に発表され、エンジンをミッドシップに配置したことで、GTカーの常識を覆した。パワー、デザイン、サウンド、すべてが「夢のような車」として世界を魅了した。

■ SV:最終進化形

今回出展される「Miura SV」は、ミウラの最終かつ最高峰バージョンで、以下の特徴がある。

  • 改良されたサスペンションとトラクション性能
    → 従来型の弱点であったリアの接地性を大幅に改善。
  • リアのワイドフェンダー&太いタイヤ
    → より力強く、エキゾチックなルックス。
  • エンジン性能:385馬力、0-100km/h加速は約5.5秒
    → 当時のフェラーリにも引けを取らないパフォーマンス。
  • キャブレターのチューニング:スムーズで力強いレスポンス
    → 街乗りでもサーキットでも魅力的な走りを実現。

■ ベルトーネの美学

デザインはマルチェロ・ガンディーニ(当時ベルトーネに所属)が手がけ、
あの流れるようなカーブと低く構えたフォルムは、今もスーパーカーデザインのアイコンとされている。出展車のカラーリング(赤×金)は、SVの中でも非常に華やかで珍しく、「イタリアン・グラマー」を体現している。

■ Stephane Ratel氏について

出展者のStephane Ratel氏は、GTレース界で知られる人物で、FIA GT選手権やBlancpain GTシリーズを主催してきたプロモーター。
彼のMiura SVは、歴史的・文化的価値に加え、個人的なモータースポーツ哲学を反映していると考えらる。

Ferrari Dino 206 S – 1967

■ 基本情報

  • モデル名:Ferrari Dino 206 S
  • 製造年:1967年
  • エンジン:直列6気筒 2,400cc
  • カロッツェリア:スパイダー by ピエロ・ドロゴ(Carrozzeria Sports Cars)
  • 出展者:Diego Meier(スイス)
  • クラス:Class D – The Fast and the Flamboyant: Racing Greats of the 1960s

■ Dino 206 Sとは?

Dino 206 Sは、フェラーリが開発した2リッタークラスのプロトタイプレーシングカーであり、名車330P3の「弟分」とも称されている。
その優美なスタイリングと精密なエンジニアリングにより、モータースポーツ史に残る希少な一台。


■ 由来と開発背景

  • 「Dino」の名は、フェラーリ創業者エンツォ・フェラーリの息子、アルフレード・“ディーノ”・フェラーリに捧げられたもの。
  • 当時、FIAの2リッター・スポーツカー・カテゴリーで競うために設計され、特にヒルクライムや耐久レースでの勝利を目指して開発。
  • 車体は極めて軽量なチューブラーフレームに、ピエロ・ドロゴが手がけた美しい流線型ボディを組み合わせている。

■ 技術仕様・特徴

  • エンジン:65度 V6(実際にはV型ですが「Inline」と表記)
  • 最高出力:およそ220〜240馬力
  • トランスミッション:5速マニュアル
  • 車重:わずか580kg前後(非常に軽量!)
  • パフォーマンス:当時のクラス最速レベル、ヒルクライムやタルガ・フローリオなどで好成績

■ スタイリングとデザイン

ピエロ・ドロゴが手がけたボディは、330Pシリーズを彷彿とさせる官能的なフォルム
ロングノーズ・ショートデッキ、シースルーのリアカバーなど、戦うための美しさが凝縮されている。

  • エンジンカウルには、機械美と空力性能が両立されたエアアウトレットを配置。
  • ヘッドライト周辺のデザインも有機的で、「彫刻」と称されることも多い名スタイルだ。

■ 現存数と希少性

  • わずか18台前後しか製造されておらず、純粋なレーシングカーとしての生存率は極めて低い。
  • 多くが当時のレースで酷使され、完調な個体は限られているようだ。

■ 今回の出展車について

この車両はスイスのコレクター、ディエゴ・マイアー氏によって所有されており、完璧なレストアと保存状態を誇っている。
ボディのレースナンバー「23」や、当時の仕様を忠実に再現したディテールは、まさに走る歴史遺産と言える。

■ まとめ

Ferrari Dino 206 Sは、60年代後半のフェラーリが技術と芸術を融合させて作り上げたレーシングジュエルだ。
今回のヴィラ・デステでの展示は、スピードと美の融合がいかに高次元で達成され得たかを示す証拠と言える。

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