もう直ぐ始まる「ラ・フェスタ・アウトゥンノ」 ですが、イタリアを語るうえで、「Mille Miglia(ミッレミリア)」という名前は避けて通れません。
1927年から始まり、往年のレーシングカーが国中を駆け巡ったあの伝説の公道レースは、今なお世界中のクラシックカーファンの心を掴み続けています。


しかし、時代は変わりました。
安全規制や環境意識の高まりのなかで、当時のような過激なレースはもうできません。
その一方で、「クルマと共に旅をしたい」という願いは、昔も今も変わらずに人々の胸に生きています。その想いに応える形で誕生したのが、1000 Miglia Experience Italy。
それはクラシックなミッレミリアとは似て非なる、新しい自動車文化の形です。


1. ミッレミリアとの違い──競うレースから、味わう旅へ
伝統的なMille Migliaは、文字通り**「速さを競うレース」**でした。
一秒でも早くゴールを目指し、時に命懸けで走る――そんな時代が確かにあったのです。
一方で、1000 Miglia Experienceは**「競争」ではなく「体験」**がテーマ。
- タイム計測なし、順位争いなし
- クラシックカーと現代スーパーカーが一緒に走る
- 車を楽しむだけでなく、その土地の文化や景観を味わう
つまり、「道を走ること」が目的ではなく、
**「道を走りながら、その道の物語を感じること」**が目的なのです。
例えるなら、レースがスポーツなら、エクスペリエンスは芸術。
イタリアというキャンバスに、クルマと旅が織りなすストーリーを描くイベントなのです。


2. 2025年ルート:南イタリアを巡る旅(4月に開催)
2025年の舞台は、南イタリアの宝石のような町々。
区間 | 見どころ |
---|---|
Sorrento(ソレント) | ナポリ湾を一望する断崖の街、スタート地点。 |
Amalfi(アマルフィ) | 世界的に有名なアマルフィ海岸沿いをクルーズ。絶景が続く海岸線。 |
Matera(マテーラ) | 世界遺産に登録された洞窟住居群が広がる幻想的な街。 |
Bari(バーリ) | プーリア州の港町でゴール。海と歴史が交わる街並み。 |
走るだけでなく、街そのものが旅のハイライトとなるよう設計されています。
まるで名画の中をクルマで走っているような感覚を味わえるでしょう。


3. 参加車両:クラシックと現代が同じ道を走る
1000 Miglia Experienceの最大の魅力は、参加車両の幅広さです。
- 戦前のクラシックレーサー
- フェラーリ、マセラティ、アルファロメオなどの歴史的名車
- ランボルギーニやパガーニといった現代スーパーカー
たとえば、1950年代のアルファロメオの横を、最新型フェラーリが並んで走る。
そんな光景は、まさに「時代を超えた夢の共演」です。
これは、単なるクラシックカーイベントでは実現できない光景です。
過去と現在が同じ道路で出会い、物語を紡ぐ――それがExperienceの真骨頂です。


4. 旅の中で味わうイタリア文化
走行だけがこのイベントの魅力ではありません。
途中のチェックポイントや休憩地では、
イタリアの美食、音楽、歴史が参加者を待っています。
- 地元ワイナリーでの試飲会
- 郷土料理を味わうディナー
- 世界遺産都市でのガイドツアー
「車に乗ること」と「その土地を知ること」がひとつにつながり、
まさに五感で味わう旅となります。



5. 観客としての楽しみ方
ドライバーとして参加しなくても、このイベントは十分に楽しめます。
- ソレントやアマルフィでは沿道からの応援が可能
- スタートとゴール地点では、車両展示やイベントショップも併設
- 観光と組み合わせれば、家族やパートナーと一緒に楽しめる
観戦はまるで映画のワンシーンに入り込んだような感覚です。



6. まとめ:ミッレミリアの魂を現代に生かす
1000 Miglia Experience Italyは、伝統的なMille Migliaをただ再現するのではなく、
現代のライフスタイルに合った形で進化させたイベントです。
- ミッレミリアが「スピードを競うレース」なら、
- エクスペリエンスは「時間を味わう旅」。
この違いこそが、両者を最も鮮やかに分けるポイントでしょう。
イタリアという国が持つ情熱と美しさを、クルマを通して体験する――
それはまさに、車好きにとっての究極の夢の旅です。