2025年11月15日から17日、ミラノで開かれる「Milano AutoClassica」では、アウレリア B24 スパイダー生誕70周年を祝う特別展示が行われる。


テーマは「L’eleganza in movimento(動きの中の優雅)」。展示では、1955年のオリジナルモデルをはじめ、ピニンファリーナによるレストア車や、輸出仕様の「B24 スパイダーアメリカ」も並びます。
静かなる革命 ― Lancia Aurelia B24 Spiderの誕生
1955年。トリノの柔らかな冬の光の中で、一台のオープンスポーツが姿を現しました。
ランチア・アウレリア B24 スパイダー──その名は、イタリア車が「技術と情緒をひとつにした芸術」へと進化した瞬間を象徴しています。


エンジニアのヴィットリオ・ジャーノが設計した世界初の量産V6エンジンは、まるで絹糸のように滑らかな回転と、低く甘いサウンドを奏でました。このエンジンこそ、のちのフェラーリやマセラティが追い求めた“魂の鼓動”の原点です。
ピニンファリーナによる流麗なデザインは、ひと筆書きのように流れるフェンダーライン、そして繊細なクローム装飾。その姿は、風の中で生まれ、風と共に生きるような美しさを放ちます。
Milano AutoClassica 2025 ― 70年目の再会
テーマは「L’eleganza in movimento(動きの中の優雅)」。この展示は、過去の回顧ではなく、“イタリアンGTという文化”がどのように生まれ、そして今も進化し続けているかを映す鏡でもあります。
優雅さとは、速さの副産物
B24の魅力は見た目の美しさだけではありません。前後50:50の重量配分、トランスアクスル構造、リア・ド・ディオンアクスル。これらは“美しい走り”を実現するために設計された、イタリア技術者たちの静かな情熱の結晶です。彼らにとって「優雅」とは単なる形容ではなく、“性能と調和が生み出す自然な美”そのものでした。


終章 ― その優雅さはいまも生きている
ある作家はかつて言いました。
“It is the car that makes you fall in love with the road.”
(この車は、道そのものを愛させてくれる)― アーネスト・ヘミングウェイ
その言葉は、70年を経た今も変わりません。
ミラノの展示ホールで陽光を浴びるアウレリアB24は、
新しい時代のグランツーリスモたちに問いかけているようです。
「優雅さとは、進化の中で最も失われにくい性能である」と。



日本にある唯一のB24 Spider
