Liricaという名のエンジン音:マセラティが機械に魂を与える理由

🎵 Meccanica Liricaとは何か? 

イタリア語の「Lirica(リリカ)」という言葉には、日本語で言う“オペラ”や“叙情詩”をはるかに超えた、もっと深い情緒が流れている。それは、機械が歌い出すような瞬間――心の奥に響く旋律を意味している。だからこそ、マセラティが「Meccanica Lirica(メッカニカ・リリカ)」というテーマを掲げて、GranTurismoとGranCabrioのモデナ回帰を祝ったとき、それは単なる式典ではなかった。
“機械(Meccanica)”と“詩(Lirica)”が出会う夜だったのだ。


🎭 モデナという舞台、パヴァロッティの声が響く街

イタリア北部モデナは、フェラーリやマセラティを生んだモーターバレーの中心。だがもうひとつの顔がある。この街は世界的テノール歌手 ルチアーノ・パヴァロッティ の故郷であり、オペラの息づく街でもある。
その象徴こそ、今回の式典が開かれた Teatro Comunale Pavarotti-Freni――エンジンと声が共鳴する、まさに“Liricaの都”だ。マセラティのCEO ジャン=フィリップ・アンパラートは語った。「モデナは我々の魂の場所だ。ここで生まれた鼓動を、再び感じてほしい。」その言葉の背景にあったのは、音楽と工学の融合という信念だ。
エンジンの鼓動を“音楽”として捉え、その響きをオペラのように昇華させる──それがマセラティの思想であり、「Meccanica Lirica」はその哲学の結晶といえる。


⚙️ Liricaとは、機械が持つ“詩情”である

イタリア語で「Lirica」とは、単に叙情的という意味ではない。そこには“声”“魂”“感情の振幅”といった人間的な要素が含まれている。マセラティにとってのLiricaとは、金属が震え、感情を奏でる瞬間――
エンジン音が旋律となり、運転者の心に響く、その一瞬のことだ。ワンオフモデル “GranTurismo Meccanica Lirica One-Off” は、その象徴としてモデナの夜に登場した。
深紅のボディ「Rosso Velluto」と、黄金の「Oro Lirico」――二台の車はまるでアリア(独唱)のように光を放ち、会場にいた誰もがその存在を“聴いた”。


💬 感情が技術を超えるとき

この「Meccanica Lirica」という言葉が示すのは、マセラティが“技術で心を動かす”ブランドであるという宣言だ。そこには冷たい機械ではなく、詩情をもったエンジニアリングがある。同じエンジンでも、同じカーブを曲がる瞬間でも、イタリア車には「感情の温度」が宿っている。
それこそが、イタリア語で言う la passione lirica(叙情的情熱)。


✨ 終章 — モデナが歌い始めた夜

オペラの街モデナで、マセラティは再び“声”を取り戻した。工場のリボンカットとともに響いた拍手は、
ひとつの楽章の始まりだったのかもしれない。「Meccanica Lirica」は、マセラティが機械に魂を吹き込むための祈りのような言葉。そしてその鼓動は、今もViale Ciro Menottiの夜空で歌い続けている。


🖋 出典・写真クレジット
© Maserati / Stellantis Media Site
ANSA / Motorionline / Gazzetta di Modena (2025年11月6日報道)

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