マセラティ:トライデントの魂を守る地元の戦い

現在、マセラティという「ブランドの命脈」そのものを巡っては、国と州を挙げた巨大な政治闘争が繰り広げられています。

先日、ローマで開催された自動車関連の政府テーブルにて、エミリア=ロマーニャ州のコッラ副知事とモデナ市のパーリア市議(※イタリア語原文:Colla e Paglia)が、親会社であるステランティス(Stellantis)グループに対し、極めて強いトーンで「警告」を発しました。
現在、モデナのチーロ・メノッティ工場は生産調整やワークシェアリングを余儀なくされ、地元の雇用とサプライチェーンはかつてない緊迫感に包まれています。
ステランティスがグローバルな効率主義のもと、マセラティの生産拠点を他国へ分散させ、モデナを形だけの「ショールーム」に縮小させてしまうのではないか。地元はそれを最も危惧しています。

さらに、この駆け引きの裏には非常にしびれるタイムラインの攻防があります。
元々、ステランティス側はマセラティの新たな「事業・産業計画」を12月(年末)に発表する予定としていました。
しかし今回、地元行政が突きつけたのは、単に年末を待つのではなく、**「その発表の場所をトリノやパリ、ローマではなく、他ならぬモーターバレー(モデナ現地)で行い、12月に至るまでのプロセスから地元を巻き込んで対話せよ」**という強力なプレッシャーです。

「密室で決まったリストラ案を上から一方的に事後報告されるのは御免だ。我々モデナ市が納得できる、モデナのための本物の投資計画を、このモデナの地に直接持ってこい」
この泥臭い主権争いこそが、まさに今、モデナの街で火花を散らしているリアルな戦いなのです。

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