• ついにセカンドライフが始まるイタリア車好きのブログです。

歴代のクアトロポルテの中にあって、少し小さかった4代目のクアトロポルテは、今年で30年目を迎えた。1994年のトリノショーでその姿が現れた。

フェラーリのラインナップ(今はあるが)になかった4ドアモデルが、1960年代に既にマセラティにはラインアップに4ドアモデルを加えていた。しかし、ライヴァルのターゲットはフェラーリではなくアストンマーチンやラゴンダであったのだ。マセラティはフェラーリより幅広い層にニーズを合わせていたからだ。

4代目クアトロポルテは、ビトゥルボの4ドアヴァージョンである430から発展したモデルなので、クアトロポルテという名前でありながらも、先代のクアトロポルテのロイヤルとはメカニズム的にV型8気筒エンジンと広めのリアシートを積むというポリシーとは何の繋がりもない。マセラティの4ドアモデルとして初代以来のカリスマを継承するには、いささか頼り無かったことは否めなかったことは間違いない。しかしフィアット傘下になった4代目クアトロポルテのデリバリーが開始され、追加でV8モデルも投入された頃には、そんな厳しい評価など初めから無かったかのような空気へと変容していた。その要因の一つはスーパーカーのデザイナーとしてキャリアの頂点を極めていた時期のマルチェロ・ガンディーニがデザインしたのが功を奏したのかもしれない。強烈なウェッジシェイプをエレガントに昇華させたプロポーションと、斜めにカットしたリアタイアハウスに至るまで、極めてアグレッシブながら同時に独特の艶と品格を併せ持つ、いかにもガンディーニらしい魅力的なスタイルを体現していた。

さらに、内装は外装とは裏腹にビトゥルボ以来のマセラティのもうひとつの特徴であったアーモンド型金時計と、ウッドと本革/アルカンターラをふんだんに使った豪華なインテリアは、この4代目クアトロポルテに、外装は未来的、内装は古典的という表裏一体の不思議なモデルの頂点を極めることになる。退廃的にさえ感じさせる独特の空間は、エキゾティックな雰囲気をいっそう高めていたのだ。それゆえに今だに、4代目クアトロポルテの支持者は後を絶たない程の人気を得ているのだ。そんな30年目を迎えた4代目クアトロポルテに、我々は乾杯するのだ。


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