このプロジェクトは「オフィチーネ・フォーリイセリエ・マセラティ」(Officine Fuoriserie Maserati)と呼ばれモデナの工場で始まる。



二転三転の迷走するマセラティは、昨年から話題に事欠かない。再びフェラーリ傘下となるのか?、従業員にセルビア出向の提案、その直後にはトリノで製造されているグラントゥーリズモとグランカブリオをモデナ工場へ引越しするのでは?など。。。マセラティはクルマが売れていなくても、話題は急上昇なので注目度は抜群である。それほどクルマに全く関心のないイタリア人であっても、イタリアでは雇用の影響に深く関わっているので、マセラティの経営状況は、イタリアの経済状況と同時にリンクしていると言える。
今回、正式発表されたプログラムであるが、モデナ工場での生産の将来がまだ不透明な状況にある中、マセラティにとって好転になるのか定かでないが、確実に実行されるのは間違いないだろう。



このプロジェクトに対して工場に投資額は1100万ユーロで、生産能力は1日あたり24台で、それぞれ異なる車種を生産することも可能。スタート時は1シフトで働く40人の従業員。最大稼働時には110 人まで従業員を増やせる可能性があるという。マセラティはフォーリィセリエの生産を総販売台数を現在の12%から20%に引き上げることを目指しているという。


フォーリイセリエでは、より多くの外装色、塗装、ブレーキキャリパー、リム、内装の組み合わせをカスタマイズできます。カスタマイズには 2 つのコースがあり、1 つ目はカタログで、何千もの組み合わせの中から自分に合ったものを見つけられるコース、2 つ目はコレクション (Fuoriserie Corse と Fuoriserie Futura) がのメニューが用意されています。オーナーが具体的にリクエストした内容や世界に 1 台だけのユニークなマセラティを誕生させる「完全オーダーメイド」です。


実際の完成車に至るまでに、マセラティの正規ディーラーにて Fuoriserie エリア/ラウンジにあるショールームから始まり、革新的なコンフィギュレーターを含むカタログや特注の資料が豊富に揃っており、Fuoriserie チームとマセラティ スタイル センターのデザイナーとの継続的な対話を通じて最初のオーダーメイドのマセラティが始まる。



次に、オーダーされたマセラティはモデナ工場にて、既存の塗装エリアに移動し、手作業による塗装の準備と品質管理を行う。次に、高度な技術プロセスを実行する新しい革新的な塗装エリアに入り、ここでは、自動化された塗装の後、3 つのフェーズに分かれています: 清掃室;ロボット塗装と休憩、80℃で調理、二重調理。細部に渡る手作りのカスタマイズが完成する。



新しいワークショップでは、グレカーレ、MC20、GT2 ストラダーレ、グラントゥーリズモ、グランカブリオなど、全シリーズのモデルを毎日塗装できるワークステーションが 20 基以上がある。
約 4,000 平方メートルの専用スペースに最先端のテクノロジーが投入され、近代化された塗装エリアでは、色彩と技術の両面で継続的に進化する幅広い色の選択肢と、ブランドのレーシングと伝統の DNA にインスピレーションを得た幅広いカラーリングの選択肢をオーナーに用意している。
フィチリ:「この土地は私たちのブランドの鼓動する心臓です」
マセラティ CEO サント・フィチリは、ここに新しいプログラムの Officine Fuoriserie Maseratiについて、オフィシャルにビデオクリップを公開している。 「マセラティは世界においてイタリアン ラグジュアリーの代名詞であり、このコンセプトを最高レベルで実現することは、私たちが行うすべてのこと、特に Fuoriserie プログラムによる高級車の製作において、お客様のご要望を最優先に考えることを意味します。細部へのこだわりと、マセラティの購入を決めたお客様のニーズへの配慮が、私たちの特徴です。新しい Officine Fuoriserie Maserati では、さらなるオーダーメイドの体験を提供します。これは、職人技の卓越性と革新の伝統を称える、ブランドの歴史における新たなステージです。」


「新しいワークショップは歴史あるモデナ工場に拠点を置きます」とフィチリ氏は続けます。 「この土地は、イタリアのモーターバレーで最も長い歴史を持ち、パフォーマンスとデザインのユニークなビジョンを世界にもたらすことができる、私たちの並外れたブランドの鼓動する心臓部です。この開設は、モデナの拠点とそこに住む人々にとって重要な投資であり、地元のコミュニティに対するブランドのコミットメントを示すと同時に、成長の新たな機会を創出するものです。」



日本においてこのプログラムOfficine Fuoriserie Maseratiは有効性があるかというと、筆者は少し疑問が残る。細かな注文から作られる完全なオーダーメイドなので、日本のショールームを初めて訪ねてから、手元に自分のマセラティが納車されるまで、おそらく1年以上は費やすと思われる。最大のネックは船便に3ヶ月かかるところが問題だと思う。イタリア本国や近隣諸国ならデリバリーに費やす時間は1ヶ月もないはずなので、このプログラムはEU圏内であれば軌道に乗りニーズはあると思われる。だがマセラティを欲しいと思う大方の日本人にとって1年以上も待つことはしないのではなかと思う。したがって正規ディーラーのショールームに並んでいるディーラー発注車かアプールドカーセンターに並んでいる認定中古車を買うことになる。
しかしながら、筆者のような相当なマセラティ好きであれば、筆者のようにグレカーレGTをほぼオプションをカスタマイズオーダーしたように、自分だけのマセラティを作りたいと思う人は、是非このプログラム「オフィチーネ・フォーリイセリエ・マセラティ」(Officine Fuoriserie Maserati)を利用していただきたい。