既存の枠に収まらない「バーリ・スタイル」とは?
愛するイタリアの車イベントといえば、伝説の公道レース**「ミッレミリア」や、ヒルクライムの祭典「ヴェルナスカ・シルバーフラッグ」**が有名だが、しかし、バーリはそれらとは決定的に違う。
• ミッレミリアとの違い:
あちらが「数日間かけてイタリアを縦断する過酷なラリー」なら、バーリは「都市の鼓動を感じるクローズドなサーキット・パレード」と言える。アドリア海を望むバーリの美しい海岸線(ルンゴマーレ)が、そのまま歴史的なサーキットへと変貌するのだ。
• ヴェルナスカとの違い:
ヴェルナスカが「静謐な丘陵地を駆け上がるストイックな走り」なら、バーリは「光と音と市民の熱狂が入り混じるフェスティバル」と言える。
夜間走行(ナイトラン)の演出や、観客との距離の近さ、そして街全体が劇場になるような一体感。まさに、「魅せる」ことに特化した現代的な歴史再燃イベントである。
マセラティスタの魂を揺さぶった「3台の三叉槍」
今回、多くの名車が顔を揃えたが、視線は常にボローニャの紋章――三叉槍(トライデント)を冠したマシンたちに注目した。特に印象的だった3台をピックアップする。
1. Maserati 6CM
戦前のグランプリシーンを席巻したこの1.5リッター・ヴォワチュレット。バーリのタイトな市街地コースで見せるその軽快な身のこなしは、まさに芸術品。直列6気筒エンジンの咆哮が、石造りの街並みに反響する瞬間、時計の針が1930年代へと巻き戻ったかのような錯覚に陥流のだ。


2. Maserati 4CLT/48
「サン・レモ」の愛称で知られるこのマシン。チューブラーフレームの細身なシルエットは、現代の車にはない「危うい美しさ」を放っている。当時のバーリGPでも主役を張ったであろうこの一台が、再びプーリアの風を切って走る姿には、マセラティの黄金時代へのリスペクトを感じずにはいられないだろう。


3. Maserati 200S
そして、1950年代のスポーツカー・レースを象徴する傑作、200S。アドリア海の光を浴びて輝く、マジョーリの手による官能的なボディラインには美しい。2リッター4気筒エンジンの、力強くも乾いたサウンドがバーリの街路を駆け抜ける様は、まさにこの「新しいスタイルのイベント」のハイライトに相応しい、圧倒的な存在感である。


