アドリア海の風に舞う伝説:第9回グラン・プレミオ・ディ・バーリ 2026
2026年4月、南伊バーリの公道が再び咆哮に包まれました。5万人もの観客が沿道を埋め尽くす中、開催された「第9回 復刻版グラン・プレミオ・ディ・バーリ」。エマーソン・フィッティパルディをゲストに迎えた今年の大会は、まさに「歴史が動いた」瞬間が連続する奇跡のような4日間であった。



100年目の戴冠:キリビリの衝撃的な総合優勝
今大会最大の驚きは、**1924年製「Chiribiri(キリビリ)Monza Sport」**の総合優勝。
キリビリ社とは1929年に消滅したこの伝説のトリノのブランドが、ちょうど100年前に生まれたマシンでバーリの表彰台の頂点に立った。自社製1.5リッターDOHCエンジンという、当時としては破格のハイテクユニットが奏でる快音。100年の時を超えて現代の道を制したその姿は、イタリアン・モータースポーツが持つ美しき情熱の結晶そのものだ。


謎を解く歓喜:ランチア・バルケッタの正体
パドックで一際異彩を放っていた「ランチア・バルケッタ」についても触れずにはいられない。その流麗なアルミボディの正体は、1950年代にベルギーの愛好家の依頼で特別に仕立てられた**「Lancia Aurelia B20 Barchetta De Leval」**である。アウレリアの卓越したメカニズムを、極限まで軽量化されたバルケッタ・ボディに包み込んだこの一台。1956年のル・マンにも挑んだ血統を持つ「デ・レベル」の優雅なシルエットは、まさに「動く工芸品」と呼ぶに相応しい佇まいであった。


職人技の咆哮:OSCA MT4の華麗なる活躍
そして、マセラティ兄弟の魂を宿す**「OSCA(オスカ) MT4 (1955)」**。ジョバンニ・ドルチェッタの操縦により、並み居る競合を抑えて総合5位に入賞するという、現役さながらの鋭い走りを披露。1,500ccに満たない排気量ながら、当時の大排気量車を幾度となく打ち負かした「ジャイアント・キラー」の片鱗は、2026年のバーリでも健在。タイトな市街地コースを舞うように駆け抜けるMT4の姿に、当時のミッレ・ミリアの熱狂を重ねたファンも多かったはずだ。


