カゼルタの丘に見た「絹の理想郷」:サン・レウチョと日本の意外な共通点

いよいよ終わりに近づいたイタリアへの旅の最終章は、カゼルタ宮殿からほど近い丘の上にある「サン・レウチョ」だ。ここは18世紀、ナポリ王フェルディナンド4世が創り上げた、世界でも類を見ない「絹の産業都市」と言われている。


王が描いたユートピア

サン・レウチョの驚くべき点は、単なる王立工場ではなく、職人たちが平等に暮らす「理想郷(ユートピア)」を目指しいた。1789年に制定された独自の法典では、当時としては画期的な**「男女平等」や「教育・医療の無料化」**が謳われていたのだ。この「国家が威信をかけて最高品質のシルクを生産し、働く者の環境を整えた」という志は、日本が誇る世界遺産の富岡製糸場が歩んだ道ともどこか重なって見えなくもない。

現代に息づく職人魂

「最上のものを作るために、最上の環境を整える」

展示されている巨大な手織り機や、緻密な模様のシルク。ここで生まれた技術は今も受け継がれ、ホワイトハウスやバッキンガム宮殿を彩っていると言われている。

その情熱は、愛するイタリア車のクラフトマンシップにも通じる、揺るぎない美学。カゼルタ宮殿の華やかさとはまた違う、静かで力強い歴史の息吹を感じるのである。

天気は良いが少し靄がかかっている。本来であればこの方角はポンペイのヴェスビオス火山が見えるはずだが、残念ながら見えない。

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