ネーミング騒動で世間を騒がせたのも今は昔、本国イタリアでも、そして昨年6月に上陸を果たしたここ日本でも、デリバリーが本格化して街で見かける機会が徐々に増えてきたジュニア。
このジュニアには、時代の要請に応じた100%電気自動車の「エレットリカ(Elettrica)」と、新世代の48Vマイルドハイブリッドを搭載した「イブリダ(Ibrida)」という2つのパワートレインが用意されていることは周知の事実である。
しかし、今現地イタリアの自動車メディアが報じている最新のデータによると、本国イタリアにおけるジュニアの受注の約8割近くが、BEVではなくハイブリッドの「イブリダ」に集中していることが判明しているのだ。
そして面白いのは、**「では、日本市場の現状はどうなのか?」ということで、結論から言えば、日本は本国イタリアと同じ、いや、それ以上に「圧倒的なイブリダ一強」**の構図が出来上がっていたのだ。
今回は日欧の市場の空気を比較しながら、なぜエンスージアストも一般ユーザーも「イブリダ」を選ぶのか、その理由を深く掘り下げてみる。

🇮🇹 イタリア本国のリアル:欧州のBEV減速と「身の丈のスポーティ」
まず、イタリア本国の状況から見ると、欧州全体で電気自動車の普及ペースが目に見えて鈍化しているのは周知の事実で、とりわけイタリア人はクルマに対して現実的、かつエモーショナル。故に彼らがイブリダを選ぶ理由は、単にインフラの問題だけではなく、ジュニアに搭載される「1.2L 3気筒ターボ+48Vマイルドハイブリッド」の出来栄えが、想像以上に“アルファロメオしている”のようだ。
最高出力136馬力を発生するこのユニットは、可変ジオメトリーターボと6速DCTに組み込まれた小型モーターの緻密な制御により、踏み出しから非常に軽快で小気味よい加速を見せる。車重もBEV版より250kg近く軽い1,330kgに抑えられており、鼻先の軽さと俊敏なハンドリングという「アルファの伝統」を色濃く残しているのだ。
イタリアのエンスージアストたちは、**「静かで重いEVよりも、エンジンが回り、DCTが小気味よく変速するイブリダの方が、はるかに操る歓びがある」**と、極めて真っ当な理由でハイブリッドを支持しているのが現在の本国の空気感である。
🇯🇵 日本市場のリアル:「136万円の壁」とインポーターの確信
翻って、我が日本市場はどうなっているのか??
日本では価格設定とラインナップの時点で、インポーター(ステランティス・ジャパン)自身が最初から「イブリダ主軸」の必勝体制を敷いているのである。改めて、日本仕様のベースグレードの価格(税込)を見てみると、
ジュニア イブリダ コア(Ibrida Core):420万円〜
ジュニア エレットリカ プレミアム(Elettrica Premium):564万円〜
エントリー価格で比較すると、なんと**「144万円もの価格差」**が存在。
EVの補助金をフルに活用したとしても、この埋めがたい価格の開きはBセグメントのコンパクトコンパクトSUVを選ぶ層にとって決定的な障壁になる。「420万円からアルファの最新SUVに乗れる」というイブリダのプライスタグは、かつてのMiToやジュリエッタからの乗り換え組にとって、抜群の現実味を持って迎え入れられているわけだ。
さらに日本の都市部特有の「マンション住まいで自宅充電環境がない」というインフラの制約が加われば、選択肢は自然とイブリダ一択だ。ディーラーの営業マンに訊いても、「商談の打診があるのはほぼ100%ハイブリッドです」という答えが返ってくるほど、現場のムードは冷徹なまでに冷え切ったBEVへの視線と、イブリダへの熱い期待に二分されているのである。


🏁 インポーターの動きが証明する「イブリダ推し」の証拠
日本でのイブリダ人気を象徴しているのが、インポーターが矢継ぎ早に投入する「魅力的な限定車」の存在もある。直近でも、伝説のハイパーカーから着想を得た三つ葉モチーフの18インチアルミホイール“フォリ”や専用ボディキットを纏った**『ジュニア イブリダ スポルト スペチアーレ(Sport Speciale)』が140台限定で発売されたばかりだ。その前にも、クラシックなアイボリーカラーを纏った『アヴォリオ クラシコ(Avorio Classico)』など、日本のエンスーが思わずニヤリとするような特別仕様車が次々と投入され、そのベースはすべて「イブリダ(ハイブリッド)」**である。
もしBEVが売れ筋であれば、フラッグシップとしてエレットリカの限定車を仕掛けるはず。しかし現実には、日本の目の肥えたアルフィスタたちが何を求めているかをインポーターが一番よく分かっており、需要の集中するイブリダに魅力的なエッセンスを注ぎ込み続けているわけだ。


📝 結び:時代が変わっても、エンスーの求める本質は変わらない
自動車業界全体が「電動化」という大号令に揺さぶられた数年間、しかし2026年現在の結論として、日欧のエンスージアストたちが出した答えは極めてシンプルで、
「軽くて、手の届く価格で、ドライバーの感性に瞬時に応えてくれる内燃機関のフィールがあること」
ジュニアのエレットリカ(BEV)が持つ先進性や怒涛のトルクも魅力的であるが、私たちのライフスタイルや日本の道路環境、そして何よりも「アルファロメオに期待するエモーション」の最大公約数を満たしているのは、間違いなく「イブリダ」の一択。
本国イタリアの「8割がハイブリッド」というデータは、決してネガティブなEV失速のニュースではなく、私たちが愛した「自動車の愉しさ」の原点に、市場が正常進化のステップを踏みながら戻ってきた証拠と言えるかもしれない。
