幾千の記憶と機械の脈動――ボローニャ「Auto e Moto d’Epoca 2026」熱狂記

パドヴァからボローニャFiere(ボローニャ・フィエラ)へと舞台を移し、今や名実ともに欧州最大級のクラシックカー&バイクの殿堂となった「Auto e Moto d’Epoca(オート・エ・モト・デポカ)2026」。

10月22日から25日にかけて開催された今年の同 salone(サローネ)は、展示面積23万5,000平方メートル、13の巨大なパドックを埋め尽くす5,000台以上の歴史的名車とモーターサイクル、そして世界中から集まったコレクターたちの熱気で、息をのむほどの熱狂に包まれた。
エミリア=ロマーニャの秋空のもと、今年のSaloneが魅せた「目玉」と「際立つ特徴」を振り返る。
マセラティでは、バルケッタ、V4ザガート、A6GCSモノファロが注目に値していた。

今年のテーマ展示:「Icons of Speed」――耐久レース伝説の饗宴

2026年大会のハイライトとして最も来場者を魅了したのは、テーマ特別展「Icons of Speed(スピードのアイコンたち)」だ。ル・マン24時間耐久レースをはじめ、世界の耐久選手権を彩った伝説のモンスターマシンが一堂に会した。

 Gulfカラーの衝撃: ガルフ・ブルーとオレンジを身に纏った「Porsche 917」、そしてグループCの絶対王者「Porsche 956 Rothmans」が並び立つ様はまさに壮観。
 シルバーアローとモータースポーツの輝き: 1989年のル・マンを制した「Sauber C9」や、2001年に表飾台へ登り詰めた「Bentley EXP Speed 8」の迫力ある姿。
 イタリアン・ターボの血統: Lancia Beta Montecarlo Turbo、LC1、LC2といった、イタリアが世界に誇った耐久レーサーの群像。

 至高の超レアモデル: ル・マンを走った唯一の個体「Bugatti EB110 LM」、世界わずか15台の「Maserati MC12 Corsa」、そして伝説の「Alfa Romeo Tipo 33」など、まさに歴史の教科書から飛び出してきたかのような希少車が圧倒的な存在感を放っていた。

アニバーサリーの交差点と4つのテーマ別ルート

今年のボローニャは、自動車史を彩る記念すべき節目(Anniversario)が重なる特別な年でもあった。
会場内は「4つのテーマ別ルート」(車両販売・レストア、モーターサイクル、文化・情熱、パーツ・スペア・Automobilia)に整理され、来場者はそれぞれの情熱に従って広大な会場を巡ることができる設計となっていた。
 60周年のミウラとアニバーサリー: ランボルギーニの至宝「Miura S」が60周年の節目を祝し展示されたほか、メルセデス・ベンツによる「自動車誕生140周年」、Carrozzeria Touring Superleggeraの100周年など、歴史の節目を讃える展示が各スタンドを彩った。

 歴史的クラブとHeritage: ACI Storico(イタリア自動車クラブ歴史部門)や各ブランドのオフィシャル・クラブが立ち並び、次世代へ技術と情熱を継承するためのレストア技術展示や若い技術者への継承をテーマにしたシンポジウムも盛大に行われた。

スペアパーツ、Automobilia、そして熱き友情の再会

Auto e Moto d’Epocaの最大の魅力は、単なる「鑑賞する写真館」ではなく、世界中からバイヤーと愛好家が集う「生きた巨大市場」である点にある。
1960年代のクラシック・スポーツから、1980〜90年代に青春を彩った「Youngtimer(ヤングタイマー)」まで、プライスタグを下げた数千台の車両がその場で取引されていく。さらに、愛車のレストアに不可欠なオリジナル・スペアパーツ、ヴィンテージのポスターやメーター類などのAutomobiliaを掘り起こす愛好家たちの眼差しは真剣そのものだ。

そんな熱気あふれるパーツブースのパドックを歩いていると、何とも嬉しいサプライズが待っていた。マセラティ・ビトゥルボ(Biturbo)への深い愛と情熱を掲げるプロジェクト「PASSIONE BITURBO」を主催するダニエレ(Daniele)との再会だ。  彼とは去年6月にドロミティで開催したBiturbo Tourに参加した懐かしい思い出が蘇る。

「PASSIONE BITURBO」のロゴが掲げられたブースの前で、旧友たちと笑顔を交わし、固い握手を交わす。国境を越えてマセラティの魂を共有し、ビトゥルボという名機を後世に伝えるべく情熱を注ぎ続ける仲間たちの存在。広大な会場の熱気の中で交わした彼らとの温かい再会のひと時は、まさにこのサローネが単なるパーツの売り買いの場を超えた「情熱の交差点」であることを強く実感させてくれた。  

ガソリンの匂い、磨き上げられた金属の光沢、そして世代や国境を超えて語り継がれる機械への愛。  

ボローニャFiereの広大なパドックを満たしたあの熱気と友情の面影は、過去の栄光を愛でるだけでなく、自動車という文化がこれからも未来へと走り続けていく確かな息吹を感じさせてくれた。エミリアの大地で刻まれたこの濃厚な体験は、すべてのクルマ好きの胸にいつまでも深く残り続けるに違いない。次回は筆者が目に留まったクルマの写真を掲載するので、ご覧ください。乞うご期待を。。
どのクルマも日本では見ないモデルばかりだ。
因みに、最後にこのモノポストはご存知 LANCIA D50、FERRARIのD50ではない。
フロントノーズには輝けるLANCIAのバンディエラが堂々とついているのだ。

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